電子カルテ
医療機関の電子カルテ普及率は?普及しない理由と導入のポイント
2024.10.30
医療の世界でもデジタル化を図るにあたって、カルテの電子化が推し進められています。しかし医療現場にいる方は、実際の感覚として電子カルテの普及に遅れを感じているケースもあるのではないでしょうか。
この記事では、医療機関における電子カルテ普及の現状やその遅れ、普及が進んでいない理由などをご紹介します。

目次
電子カルテ普及の現状
まず、2023年5月現在の日本における電子カルテ普及率や昨今の普及傾向、国外の動向との比較などをご紹介します。
日本国内での電子カルテの普及率の推移
日本での電子カルテの普及率は、年々上昇傾向にあります。厚生労働省の調査結果によると、最新の令和2年におけるデータでは全体の57.2%が電子カルテを導入済みでした。病床規模別でみて400床以上の大規模な病院のうち、91.2%がすでに電子カルテを導入しています。
上記から分かるように、ほとんどの大規模病院では電子カルテが導入されています。しかし一方で、中小規模の病院や一般診療所では普及が進んでいないことが分かります。実際に200床未満の病院の普及率は、48.8%と半数を下回っています。
参照:厚生労働省「電子カルテシステム等の普及状況の推移」 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000938782.pdf
世界における電子カルテの普及率
厚生労働省の資料「諸外国における医療情報の標準化動向調査」によると、主要4カ国における電子カルテの普及率は以下のようになっています。
アメリカ | スウェーデン | イギリス | シンガポール | |
---|---|---|---|---|
一般病院 | 85~100% | 90%以上 | 99% | 100% |
一般診療所 | 80% | 90%以上 | 99% | 80% |
参照:厚生労働省「諸外国における医療情報の標準化動向調査」 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000685914.pdf
上記の4カ国と比較すると、日本の電子カルテ普及はかなり遅れている状況であることが分かります。
電子カルテが日本で普及しない原因とは?
諸外国と比較しても、日本では電子カルテの普及が遅れていることが分かりました。この原因や社会的背景として、どのようなことが挙げられるのでしょうか。
導入・運用コストの負担
まずは、電子カルテの新規導入時に必ずかかってくる導入コストや、運用開始後にも要となってくる運用コストの問題があります。
一般的に、電子カルテは導入時の初期費用が高くなってしまう傾向にあります。また、運用開始後も定期的なコストがかかってくるため、新規導入のハードルを高く感じてしまう医療機関が多いことが挙げられるでしょう。
もちろんランニングコスト面を考慮しても長期的な予算を組む必要があり、費用面でのデメリットが強く意識されてしまっていることが推測できます。
現場スタッフの抵抗感
現場のスタッフの意向によって、導入の推進が妨げられてしまっている状況も考えられるでしょう。今までとは違った新しいものを取り入れることへの抵抗感があったり、電子カルテ操作を新たに習得するための時間的コストに不安を感じていたりすることもあり得ます。
長年運用してきた紙のカルテに慣れているため、不慣れなパソコン操作に移行したくないと考えてしまうケースもあるのではないでしょうか。
これらの背景から、そもそも電子カルテの導入自体に魅力を感じていない人も少なくないのかもしれません。
この状況を改善するには、スタッフへの丁寧な説明による意識改革が欠かせません。また、新しいチャレンジに対しても精神的な余裕を持てるよう、労働環境を整備することも大切になるでしょう。
セキュリティ体制の整備
医療に限らず、ビジネスのデジタル化にあたっては適正なセキュリティ体制の構築が不可欠です。実際に、医療機関がランサムウェアなどのサイバー攻撃を受ける事例が発生しているという背景もあります。
情報セキュリティ関連のトラブルが発生した際に適した対応がとれなければなりませんし、そのためにはセキュリティ体制が整っていなければなりません。
電子カルテを導入するタイミングにも、仕組みの面で強固なセキュリティを確立すると同時に、スタッフへのセキュリティ教育も必要となります。
電子カルテシステム導入への課題と解決法
日本では電子カルテの普及率がまだまだ低いことを踏まえ、これから新規で電子カルテを導入する際には、電子カルテシステムの導入がおすすめです。さまざまなシステムから自院に合うものを選ぶことができ、セキュリティ対策などもワンストップで提供されます。
ここでは、電子カルテシステム導入に際して意識すべき課題やその解決法をご紹介します。
段階的にシステムを移行する
電子カルテの新規導入時に、多くの問題が発生するのはなぜでしょうか。おそらく、全拠点単位で全カルテを電子化するなど、無理のある措置を実行しようとしているといった理由が考えられます。
一度にすべてのカルテを紙から電子カルテへ切り替えようとせず、小規模スタートから段階的に導入して、効果をみながら少しずつ拡大していくようにすると良いでしょう。たとえば、患者さんの少ない時間帯などから始めて少しずつシステムを移行するなどの方法が得策になります。
カルテ入力でテンプレートを使用する
電子カルテシステムの利点として、テンプレートを作成して入力を簡略化できることが挙げられます。システムによっては、院ごとに合わせてテンプレートのカスタマイズが可能なものもあるため、紙カルテで使用していた記入テンプレートと同様にカスタムすると使いやすいでしょう。
クラウド型電子カルテを選ぶ
電子カルテシステムには、大きく分けて「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。オンプレミス型とは自院にサーバーを設けて院内システムを構築するスタイル、クラウド型とは提供元からサーバースペースを提供してもらい、そこで運用するスタイルです。
これから電子カルテシステムを導入するなら、クラウド型電子カルテシステムを選ぶのがおすすめです。院内サーバーや機器の設置が不要なため、初期費用を抑えられます。
定期的なメンテナンスやトラブル時の対応についても、ベンダー(システム提供元)によるサポートを受けることができます。このため、院内に情報システム担当者やIT知識がある人材が不在の場合も安心して利用できるでしょう。
補助金を活用する
電子カルテ導入などの業務のデジタル化には、政府や各自治体が設ける支援や補助金制度を活用できます。この補助金などをうまく取り入れることで、導入に関する費用をある程度削減可能です。
電子カルテ普及を促進する支援・補助金
業務のデジタル化のために設けられている、複数の支援策があります。ここでは、そのなかでも医療機関の電子カルテ導入を推進するために利用可能な支援や補助金制度をご紹介します。
IT導入補助金
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者が抱えている課題やニーズに合うITツールを導入する際、かかった経費の一部を補助する目的で設けられている補助金制度です。
《補助対象》
生産活動に資する事業を行っている中小企業・小規模事業者が対象であり、医療機関も含まれます。
《補助金の上限・下限額》
「通常枠」を例に挙げると、通常枠にはA類型・B類型があり、A類型は5万円~150万円未満、B類型は150万円~450万円以下です。どちらも補助率は2分の1以内となっています。
病院診療情報デジタル推進事業
こちらは東京都が設けている補助事業で、事業目的は「病院への電子カルテシステムの導入及び更新を支援することにより、地域における診療情報の共有、連携を促進すること」とされています。
《補助対象》
東京都内において200床未満の病院を開設しており、東京都知事が適当と認める医療機関が対象です。
《補助額》
補助金の基準額は以下のようになっています。
・電子カルテシステムの整備支援:605千円に病床数を乗じた金額
・電子カルテシステムの運用に伴う事務作業支援:3,600千円×配置月数/12
参照:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/jigyo/ictkiban.html
EMシステムズのクラウド型電子カルテシステム「MAPs for CLINIC」
EMシステムズでは、使いやすく初期費用がリーズナブルなクラウド型電子カルテシステム「MAPs for CLINIC」をご提供しています。
・MAPs for CLINICとは?
直感的な操作ができるクラウド型電子カルテシステムです。メーカー指定のハードウェア(機器)を用意しなくても、一般的な市販の機器で導入できます。自院のハードウェアですぐ導入でき、コスト面でのハードルがぐんと低くなります。
・システムの特長
MAPs for CLINICは、UIに操作性の高いアプリケーション型を採用しています。直感的にすぐ操作ができ、業務への活用もスムーズ。
多くのスタッフが利用する電子カルテだけに、良好な操作感を大切にしました。
・導入のメリット
MAPs for CLINICは、初期ライセンス費用がなんと0円。一般的にクラウド型電子カルテシステムは初期コストが低いといわれますが、それらのなかでも初期費用を大きく抑えられます。
MAPs for CLINICは、コストパフォーマンスと使いやすさを両立したクラウド型電子カルテシステム。資料のダウンロードや無料体験も可能ですので、ぜひ一度お問い合わせください。
まとめ:電子カルテの普及を阻む課題を解決し、導入を進めよう
日本の電子カルテ普及は諸外国に比べて遅れてはいますが、国内での利用に適した電子カルテシステムの開発も進んでおり、導入によるメリットは数多くあります。また現在であれば普及を目的とした政策・支援も充実しているため、助成金や補助金の利用もしやすいといえます。将来的には欧米諸国のように電子カルテの利用がスタンダードとなっていくとも考えられていることから、早めの導入検討をおすすめいたします。
医療機関で電子カルテの導入を検討する際は、適切なシステム選定やスタッフの意識改革が重要です。EMシステムズのMAPs for CLINICなら、機能やサポート体制も充実。電子カルテシステムで迷ったら、ぜひEMシステムズまでお問い合わせください。
電子カルテの早めの導入で、医療機関の諸業務の効率化やサービス向上を実現しましょう。
この記事を書いたライター

氏名 株式会社EMシステムズ
1980年創業の医療(クリニック・保険薬局)、介護/福祉業界向けのシステム開発・販売・保守を行う企業です。現在は北海道から沖縄まで、多くの全国の医療・介護施設様に当社の各種システムをご利用いただいております。
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