電子カルテ

電子カルテとは?メリット・デメリットと導入までの流れや注意点

病院で運用している、患者さんに関する情報を管理する書類と言えば「カルテ」です。このカルテを、従来の紙の書類ではなく電子データで運用するのが「電子カルテ」。さまざまな病院で導入が進んでいますが、「自院ではまだ紙のカルテを使っている」というケースもあるでしょう。
そこでこの記事では、電子カルテの概要や導入のメリット・デメリット、導入の流れなどを詳しくご紹介します。自院での電子カルテ導入をご検討中の方は、ぜひご参考にしてください。

電子カルテとは?メリット・デメリットと導入までの流れや注意点

電子カルテとは

電子カルテとは、医師などが従来は紙のカルテに記入していた診療情報を電子化し、編集・管理した上でデータベースに記録しておく「電子化されたカルテ」を指します。医療現場などでは、「電カル」という略称で呼ばれることもあります。

 

紙のカルテは1つの医療機関に患者さん1人当たり1通しか存在しないため、必要になったらその現場までカルテを回して情報を探さなければなりませんでした。

カルテを電子化することで、院内のどこにいるときでも診療の情報を共有でき、保険請求等の業務も効率化することが可能です。

 

カルテの5年間の保存義務

カルテは、患者さんの治療が完了してから最短でも5年間の保存義務があります。紙のカルテの場合、患者さんの数や医療機関の稼働年数にともなって、分量もどんどん多くなってしまうでしょう。

カルテの保管場所の削減や、移動・持ち運びの負担軽減を目的として、電子カルテを導入するケースも少なくありません。

 


電子カルテの普及状況

医療の現場で負担が大きかった各種業務を効率化するために役立つ電子カルテですが、現状どの程度普及しているのでしょうか。ここでは、電子カルテの普及状況についても見ていきましょう。

 

現在の電子カルテの普及率

厚生労働省では、電子カルテのさらなる普及を目指してさまざまな取り組みを進めています。もっとも新しいデータによると、令和2年度における一般病院における電子カルテの普及状況は57.2%となっています。そのなかで病床規模200床未満の医療機関では48.8%と少なくなっている一方、病床規模400床以上の医療機関では91.2%まで伸びています。

規模の大きい病院では、積極的に電子カルテの導入を進めている傾向にあることが分かります。

(参照:https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000938782.pdf )

 

ではなぜ、一部の医療機関では電子カルテの普及が進まないのでしょうか。理由としては、以下のようなことが推測できます。

 

  • 紙カルテに慣れていて切り替えが難しい
  • 導入費用の捻出が難しい
  • デジタル環境に慣れておらず、システム構築や運用方法が分からない など

 


 

電子カルテを導入するメリット

電子カルテを導入することで、医療機関の日常的な業務のなかにどのような利点が得られるのでしょうか。ここでは、電子カルテを導入することの主なメリットをご紹介します。

 

すぐに情報を確認できる

カルテを電子化することで、患者さんに関する情報が一元管理されます。いつ、どこでも電子カルテを開けば、その中から必要な情報をすぐに検索することが可能になります。電子カルテを開けるパソコンなどの端末とネットワーク環境があれば、いつどこにいても即時に情報確認できる点は、一刻の猶予も許さない場面も多い医療現場において大きなメリットとなるでしょう。

 

情報共有がスムーズになる

インターネット経由でカルテの情報を送受信できるため、院内のほか、外部医療機関への情報共有がスムーズになることも代表的なメリットの1つです。迅速かつ詳細な情報をすぐ伝達できることは、質の高い医療の提供にもつながるでしょう。

 

管理業務の効率化

紙のカルテと異なり、手書きで記入する手間や情報を探して見つける手間がかかりません。このほか、膨大な分量の紙カルテの保管場所の確保や整理などにともなう管理業務も効率化できます。

 

患者さんの満足度向上

カルテを探したり出したりする手間が省けることで、患者さんの受付や会計対応もよりスムーズにできます。院内全体の業務が効率化されることで、患者さんの院内滞在時間も短縮でき、患者さんの満足度向上も期待できるでしょう。

 

人為的ミスの防止

電子カルテでは、紙カルテで起こりがちだった書き間違いや、読み間違いといったミスの防止も期待できます。また紙カルテの場合、担当医によって記入の仕方が異なる場合もありました。その点、電子カルテの場合はテンプレートを用意できるため、カルテを書く人も読む人も困ることがありません。

これらの業務効率化は医療の質向上に直結し、安全性の確保にもつながるでしょう。

 

検査結果など各種情報との連携

紙のカルテに記入できる情報には限界があり、検査結果などの詳細情報は別途ファイルなどから探すことが求められます。しかし電子カルテならそれらの情報にもファイルやリンクを付加することができるため、すぐに詳細を確認できます。

 


 

電子カルテを導入するデメリット

電子カルテにはさまざまなメリットがありますが、それでも導入のハードルが高いと感じる方や医療機関が少なくないのはなぜなのでしょうか。ここでは、電子カルテ導入におけるデメリットについてもご紹介します。

 

導入コストがかかる

電子カルテを導入する際には、専用のシステムを取り入れる必要があります。システムによっては、初期費用が高額となる場合もあります。

また初期費用のほか、ランニングコストやサーバ管理費など、導入後の維持管理にも一定の費用がかかることは意識しておかなければなりません。これらのことを考慮すると、費用対効果の高いシステムを選定する必要が出てくるでしょう。

 

運用開始まで時間がかかる

電子カルテは、専用のシステムを導入したからと言ってすぐに運用を開始できるものではありません。導入後、まずは紙カルテの情報を1件ずつ入力しなければならなくなります。

また、電子カルテの操作や読み書きに慣れるまでにも時間がかかりますし、操作方法やシステムに詳しい人材の確保が必要となる場合もあるでしょう。

 

停電したときに活用できなくなる

電子カルテの運用には、パソコンなど端末の使用が必須となります。このため、停電や機器故障時にはカルテを使用できなくなってしまいます。そのような万一の事態を想定し、カルテの運用がストップしないよう備えておく必要もあるでしょう。

 


 

電子カルテを導入する流れ

電子カルテを新規導入する際には、どのような手順で行えば良いのでしょうか。ここでは、電子カルテ導入に関する、計画から運用までの流れや進め方をご紹介します。

 

1. 電子カルテの選定

まずは導入に際し、さまざまな電子カルテシステムから自院に合ったものを選定しましょう。その際は複数のシステム・メーカーを比較検討し、自院の業務や稼働形態に最適なものを選びます。

 

2. 要件確認とシステム設定

電子カルテのシステムが決まったら、そのシステムの提供企業(メーカーやベンダー)と打ち合わせを行います。自院で運用する上で、どのような機能を主要で使う予定であるか、スムーズな運用のためにどんな点で協力を望むか、などの要望をきちんと伝えておきましょう。

 

3. 試験運用

システムを導入したら、いったん本稼働に向けて操作方法を習得する期間を設けます。使う上での問題点の発見やマニュアルの作成・修正を行い、スムーズに本格運用を開始できるよう備えを整えておきましょう。

 

4. 運用開始

試験期間が終わったら、いよいよ電子カルテシステムの本稼働開始です。運用後にはさまざまなトラブルが発生することも想定できるため、都度適切に対応していきましょう。

 


 

電子カルテシステムの選び方のポイント

電子カルテシステムは、自院に最適なサービスを選ぶことで最大限の効果を発揮します。ここでは、電子カルテシステムを選ぶときのポイントをご紹介するので参考にしてみてください。

 

機能と性能

電子カルテシステムは、サービスごとに機能や性能が異なるため、まずは自院に必要な機能や役立つ性能があるか確認すると良いでしょう。その際にシステムの操作性・安定性・連携性も重視することがポイントです。操作が難しくないか、不具合がなく安定して作動するか、会計システムやレセコン(レセプトコンピューター)などと連携できるかといった、実際に使用している様子をイメージして1つ1つチェックしていきましょう。

 

価格と導入コスト

電子カルテシステム導入に必要な初期費用の相場は、およそ300万円前後と言われています。また初期費用に加えて、保守費用をはじめとしたランニングコストも月々で発生することが多いです。そのため、導入から運用を続けていくためにかかるコストを踏まえてシステムを検討すると良いでしょう。

コストをできる限り抑えたい場合は、経済産業省の「IT導入補助金」をはじめとした支援制度の確認・活用をおすすめします。

 

サポート体制

電子カルテシステムを導入・運用していくなかで、想定外のトラブルに遭遇する可能性もあります。システムを導入する際に、サービスのサポート体制がどこまで充実しているか確認しておくと良いでしょう。「故障時や動作が不安定なときに迅速に対応してもらえるか」「停電時のサポート体制は整っているか」など、不測の事態に備えたサポートについてチェックしてみてください。

 

セキュリティ対策

電子カルテは患者一人ひとりの大切な個人情報です。情報を漏洩または紛失しないように、ウイルス感染や端末紛失などに対して厳重なセキュリティ対策が必要となります。したがって、万が一に備えたセキュリティ対策の有無についても、電子カルテシステムを選ぶ上で欠かせないポイントです。

また、厚生労働省の『医療情報システムの安全管理に関するガイドライン』をはじめ、行政機関が公表しているガイドラインに則っているサービスか確認することも必要でしょう。

 

導入実績や評価

導入を検討しているサービスの実績や評価もしっかりと確認しましょう。実績が豊富なほど導入や運用におけるノウハウが蓄積されているため、スムーズに導入を進められます。

また実際に利用しているユーザーの評価・レビューからは、システムの使い勝手やサポートの充実度などを知ることができます。導入を検討する上で良い判断材料となるため、合わせてチェックしてみてください。

 


 

電子カルテを導入する際の注意点

電子カルテを導入する場合、従来用いていた紙カルテからの移行が必要となります。ここでは、紙カルテから電子カルテへ移行する際に注意したい点や意識したいポイントをご紹介します。

 

自院に適した電子カルテを選定する

先にも述べましたが、電子カルテとひと口に言ってもさまざまな種類のシステムが選べます。病院やクリニックの規模、設けられている診療科、連携したいシステムなどによって、適した電子カルテを導入する必要があるでしょう。

また、電子カルテシステムの運用形態も選ばなければなりません。電子カルテシステムには、提供元が用意したサーバを借りてクラウド環境により運用する「クラウド型」と、自院内でサーバや通信環境およびシステム自体を1から構築して運用する「オンプレミス型」の2種があります。いずれのタイプが自院に合うか検討し、適した形態のシステムを選びましょう。現在では新規導入のハードルが低く、運用開始後も管理が容易なクラウド型が主流となっています。

 

過去の紙カルテの情報の取り扱い

従来運用していた紙カルテに書かれた情報を、電子カルテ導入後はどう管理するのかについても事前に決めておきます。過去の診療情報等をすべて電子化するのか、導入以降のデータを電子カルテで管理するのかを決めましょう。

もし、過去の情報を電子化しない場合は運用後も紙カルテとの併用が必要です。また、紙カルテのデータをすべて電子カルテに移行する場合も一定の期間を要するため、期間内は紙カルテと併用することとなります。

紙カルテを引き続き運用する場合、保管方法などを十分検討してデータの取り扱いに注意しましょう。

 

院内のセキュリティ意識を高める

どのような情報のデジタル化にも言えることですが、カルテを電子化する場合も院内のセキュリティ体制を十分に整える必要があります。電子カルテの運用にかかわる機器のOSやアプリはすべて、常時最新状態にバージョンアップしておかなければなりません。

また、データの紛失や機器故障等のリスクについて、スタッフに意識付けを徹底することも重要です。必要に応じて研修などを実施し、全体でセキュリティ意識の向上を図るようにしましょう。

 


 

電子カルテの導入を検討するならEMシステムズにお任せください

EMシステムズでは、使いこなしやすく多機能な電子カルテシステムをご提供しています。

 

クラウド型電子カルテシステム「MAPs for CLINIC」

EMシステムズのクラウド型電子カルテシステム「MAPs for CLINIC」は、直感的なUIとプロが求める豊富な機能を備えたクラウド型電子カルテシステムです。

 

・MAPs for CLINICとは?

初期ライセンス費が0円とリーズナブルながら、使いやすさと機能性を両立したクラウドシステムです。従来の電子カルテシステムと大きく異なるのは、メーカー指定のハードウェア(機器)を必要としない点。必要なスペックさえ満たしていれば、市販のハードウェアをご準備いただくだけで導入が可能なためハードウェアにかかる初期費用もぐんと抑えることが可能です。新システムの導入時に心配な初期費用の問題も、これでかなり低減できるでしょう。

 

・システムの特長

電子カルテに求めるポイントとして、もっとも重要視されているのが操作性の高さです。その点MAPs for CLINICは、使いやすさにも妥協なし。UIには操作性の高いアプリケーション型を採用し、「せっかく電子カルテを導入したのに使いこなせない」という問題を解消しました。

またネットワークが遮断された場合にローカルアプリ上で入力・対応が出来る機能や、厚労省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠したセキュリティなど、運用において重要な機能を備えています。

 

・資料のダウンロードや無料体験が可能

「まずは詳しく知って、試してみなければ」という方にも安心です。MAPs for CLINICでは、他社では請求による取り寄せが主流の資料も気軽にダウンロード可能。無料体験もご用意していますので、安心な状態で運用を開始できます。

 


 

まとめ:電子カルテとは、医療機関と患者さんに安心と便利をもたらす仕組み

「電子カルテを導入したいが、費用の問題が不安」「紙カルテの不便さをなんとか解消したいが、電子カルテは難しそう」……こんなお悩みはありませんか? MAPs for CLINICは、新規導入の裾野を広げるためさまざまな工夫を凝らした電子カルテシステムです。これまで導入を迷っていた医療機関の方にこそ、その使いやすさや便利さをご体験いただきたいと考えています。

トライアル運用にご興味がございましたら、ぜひEMシステムズまでお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

株式会社EMシステムズ

氏名 株式会社EMシステムズ

1980年創業の医療(クリニック・保険薬局)、介護/福祉業界向けのシステム開発・販売・保守を行う企業です。現在は北海道から沖縄まで、多くの全国の医療・介護施設様に当社の各種システムをご利用いただいております。

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