電子カルテ
医療機関に必要なBCP対策とは?災害時の重要性や策定のポイント
2024.10.30
日本は世界のなかでも、特に自然災害に見舞われる機会の多い国です。さまざまな大規模災害を経て、近年では各企業・団体において災害などの非常時に備えた「BCP対策」を整備する流れが定着しつつあります。もちろん医療機関も、その例外に漏れるものではありません。
この記事では、医療機関に求められるBCP対策についてご説明し、BCP策定のポイント等についてもご紹介します。医療機関として、災害への備えをより確かなものとしたいとお考えの方はぜひご参考にしてください。

目次
BCPとは
BCPとは「事業継続計画(Business Continuity Plan)」の頭文字を取った略称です。具体的には、緊急時における事業継続のための方法や手段などを取り決めておく計画を指しています。
事業を行う拠点が万一自然災害や火災、あるいはパンデミック(感染症の大規模な流行)などの緊急事態に見舞われたとします。その際も、事業資産の損害を最小限に抑えて事業を継続させるか、停止した際も早期復旧につとめるための方策です。
BCP対策の重要性
医療機関をはじめとするすべての事業所において、BCP対策の導入にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここではBCP対策を策定することで得られるおもなメリットや、事業所におけるBCP対策の重要性をご紹介します。
緊急事態への対応力を高められる

BCP対策を策定しておくことで、緊急時や非常時の対応方法がマニュアル化されます。それを全従業員間で周知できれば、非常事態に陥った際にも迅速な行動・対処が可能となります。
事業の早期復旧を可能に
あらかじめBCP対策で復旧の手順を明確にしておくことで、仮に事業が停止してしまった場合も復旧までの時間を短縮できます。もちろん、早期復旧を図れることでサービスの再開も早めることが可能となります。
企業価値を高められる
BCP対策の導入によって「災害への備えができている事業所」というイメージを確立できる可能性があります。また好印象を与えることは企業価値の向上にもつながり、顧客や取引先からの信頼を得られることが期待できます。
生産性向上
BCP対策によって緊急時対応や早期の復旧を可能にし、非常時も事業をストップさせずに継続へつなげることができます。
事業所内で適正な優先順位を設け、情報共有やマニュアル化などを行うことで、業務の改善や効率化も期待できるでしょう。
医療機関(病院)におけるBCP対策
ここまでは一般的なBCP対策のメリットについてご説明してきましたが、ここからは医療機関に特化したBCP対策をご紹介します。ここでは、病院や医療機関におけるBCP対策の概要をご説明しましょう。
通常の事業でご説明したことと同様、医療機関でもBCP対策を導入することで、緊急時の対応や早期復旧をめざすための手順をマニュアル化できます。
特に、総合病院や大病院の場合は多くの患者さんが入院していることもあり、事業を止めないためのBCP対策は重要であると言えます。このため、医療機関では基本的なBCPに加えて医療機関に必要な対策を策定し、病院全体で共有することが大切です。
厚生労働省からも、医療施設のBCP策定についてガイドラインが出ているため、策定や見直しに際しては以下も確認すると良いでしょう。
災害拠点病院とは
医療機関のなかで「災害拠点病院」に指定されている病院もあります。災害拠点病院とは、どのような医療機関を指すのでしょうか。
災害拠点病院の条件
災害拠点病院とは、災害が発生した際における初期救急医療体制の強化を目的に定められている病院のことです。災害拠点病院のおもな条件を、以下にご紹介します。
・24時間体制で診療を行えること
・ヘリコプターによる重症患者の受け入れや搬送ができること
・ヘリコプターに同乗できる医師が常駐し、規模の大きい医療体制と情報収集システムを備えていること など
このように、災害拠点病院とは「災害時に医療機関を支援できる病院」を指します。各都道府県に設置され、医療救護活動において重要な役割を担っています。
災害拠点病院に必要なBCP対策
災害拠点病院も、平時においては入院患者や外来患者に通常の医療を提供しています。しかし災害が起こると、災害による負傷者の受け入れや対応、医療チームの派遣などが主要業務となります。
このため、災害拠点病院では一般の病院でのBCPに加え、以下のように災害対応に特化した対策を策定しておかなければなりません。
・緊急時における院内での役割分担
・近郊にある各医療機関との役割分担に関すること
・大規模な(複数人の)指揮命令系統を設けること など
上記のような対策を立てるだけでなく、そこで定めた業務の優先順位についてもあらかじめ決めなければなりません。それらを平時に周知徹底し、全スタッフが把握しておくことも重要です。
医療機関(病院)におけるBCP策定のポイント5つ
病院でBCPを策定する際には、どのような点に特に留意する必要があるのでしょうか。ここでは、病院でBCPを策定するときに意識すべきポイントをご紹介します。
災害時の業務の優先順位を決める

災害発生時における、業務の優先順位を設定しましょう。そのためには、災害時に必要となる業務をすべて抜き出して、それらのすべてに優先順位をつけなければなりません。全業務を漏れなく洗い出し、詳細に優先順位をつけるようにしましょう。その際は、指揮命令系統の設定や役割の分担まで設定しておくと、非常時も可能な限りの混乱回避ができます。
インフラ対策を行う
医療機関は災害時においても、医療行為を止めないことが求められます。そのため、水・電気・ガスなど不可欠なインフラを欠くことのないよう対策を行わなければなりません。
医療機関でこれらのインフラが一部でも止まってしまえば、患者の命にかかわる事態を招きかねません。万一の事態においてもインフラを使用できるよう、医療機関単位での対策を実施し備えましょう。
特に電気が止まると医療設備にも大きな影響が及ぶ可能性があるため、自家発電体制の構築などを考慮する必要が出てくる場合もあります。
災害時の医療提供機能を確保する
災害発生時に、早期復旧をめざすために業務を減らすという検討をしている医療機関もあるかもしれません。しかし、災害が起これば医療の需要が増加するケースが一般的です。けがをした人などの受け入れを行いながら、入院患者に対する通常の医療も止めずに行わなければならないケースの方が多いと考えられます。
通常時以上の医療需要に応じられるよう、適した対策を整えておくことが重要でしょう。
医療機器・備蓄品の在庫を確保する
災害に際して医療需要が増加すれば、機器や備蓄品もその分だけ必要となるはずです。まして災害対応は、短期的なものになるとは限りません。場合によっては、長い期間に及ぶ可能性もあります。医療設備や機器、医薬品だけでなく、エプロン・手袋なども十分な量を確保しなければならないでしょう。
また、機器や薬剤などが不足した場合に融通し合えるよう、近郊の医療機関と連携することも欠かせません。
電子カルテなど患者情報の管理を徹底する
BCP対策で挙げられる非常事態には災害などのほか、大規模なシステム障害なども含まれます。
自然災害やシステム障害の際に最も避けたいことは「情報資産を失ってしまうこと」です。データの分散化や遠隔地への保管、適切なセキュリティ対策などで患者に関する情報を守るための対策も忘れずに行っておく必要があります。
医療機関(病院)のBCP対策として電子カルテの導入を検討するならEMシステムズへ
BCP対策の一環として、カルテなどの情報をデータ化することを検討している医療機関も多いことでしょう。そのような場合におすすめしたい電子カルテシステムがあります。それはEMシステムズの提供する「MAPs for CLINIC」です。
クラウド型電子カルテシステム「MAPs for CLINIC」とは?
使いやすく、初期費用0円で導入ハードルの低い電子カルテシステム「MAPs for CLINIC」。優れたUIによってどなたが使っても良好な操作性を実現するとともに、クラウドシステムによる安定した稼働率も魅力のひとつです。
「MAPs for CLINIC」が医療機関のBCP対策におすすめなポイントは、クラウド型電子カルテシステムである点。情報をローカル環境だけで管理していると、万一の際に情報資産を失う可能性が高まります。安全なクラウドスペース(インターネット上の仮想スペース)で情報を管理できるクラウド型システムを用意しておくことで、緊急時の情報資産保護に役立ちます。
要件を満たすスペックのPCなどをお持ちなら、新規で機器を購入しなくても運用を開始できる点も「MAPs for CLINIC」のメリット。
BCP対策として電子カルテの導入をご検討中であれば、まずは「MAPs for CLINIC」の資料ダウンロードや無料体験をお試しいただくことをおすすめします。ご興味をお持ちの方は、ぜひEMシステムズまでお問い合わせください。
まとめ
この記事では、医療機関に特化したBCP対策のポイントや、おすすめの電子カルテシステムについてご紹介しました。
災害対策を視野に入れて医療現場のデジタル化をお考えであれば、ぜひEMシステムズまでお気軽にご相談ください。
この記事を書いたライター

氏名 株式会社EMシステムズ
1980年創業の医療(クリニック・保険薬局)、介護/福祉業界向けのシステム開発・販売・保守を行う企業です。現在は北海道から沖縄まで、多くの全国の医療・介護施設様に当社の各種システムをご利用いただいております。
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