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クリニックの集患力を高める方法とは?成功する集客方法と効果的なマーケティング戦略
2024.12.28
クリニックの運営において集患は非常に重要な課題です。本記事では、地域住民のニーズを把握し、自院の強みを活かした診療サービスやマーケティング戦略を展開する方法を解説します。デジタルとオフライン施策を組み合わせ、患者との信頼関係を築きながら、リピーターを増やす具体的な手法をご紹介。地域に愛されるクリニックを目指すための実践的なアイデアをお伝えします。

目次
まず取り組むべきクリニック集客の3つの基礎
基礎1:ターゲットを明確にする
地域の患者ニーズを把握する
地域の人口構成や生活習慣をさらに具体的に分析し、患者層の特性に応じた診療サービスを提供します。地域の健康課題に応じた診療メニューを揃えることで、住民に「地域に根ざしたクリニック」という安心感を提供することができるでしょう。
以下は具体例です:
- 年齢層に合わせた診療科目:
・小児科:若年層の子育て世帯をターゲットに、予防接種や発達相談を重点的に展開。学校や保育施設との連携を図り、地域の親子に情報を直接届ける。・婦人科:地域の出生率や新婚世帯のデータを活用して、妊娠中から出産後のフォロー体制を構築。産後ケアや母乳相談といったサービスを拡充。
・高齢者向け内科:地域の高齢化率を考慮し、生活習慣病の管理や定期健診を強化。デイサービスや介護施設との連携を強化し、訪問診療も提供。
- 地域特有の健康課題への対応:
・アレルギー科:花粉症やハウスダストに悩む患者向けに、特別な治療プログラムを設置。花粉シーズンに先駆けて予防的な施策を提案。
・整形外科:農業や重労働が多い地域での腰痛や関節痛に特化したケアを提供。リハビリ施設を院内に併設し、定期的なトレーニングメニューを提供。
・生活習慣病対策:都市部での高血圧や糖尿病患者に対する栄養指導や運動療法の導入。具体的なメニューや患者が自宅で続けられるオンラインサポートを提供。
基礎2:自院の強みの分析
クリニックの特性や他院との違いを深掘りし、ターゲット患者が「このクリニックを選びたい」と思えるポイントを明確にします。患者が「ここなら自分のニーズに応えてくれる」と感じる要因となります。
以下は具体例です:
診療時間の柔軟性:
・平日夜間診療を実施することで、働く世代が通いやすい環境を整備。急な残業にも対応できるよう、予約時間の調整に柔軟性を持たせる。
・土曜日・日曜日にも予約枠を設定し、家族での受診が可能。休日診療の実施スケジュールを広報活動で明確化。
- 最新医療機器の導入:
・CTスキャンやMRI、デジタルレントゲンなど、高性能な機器を導入し、迅速かつ正確な診断を提供。導入機器の特徴をホームページやパンフレットで分かりやすく解説する。
・ポータブル超音波装置を導入し、往診時の診断能力を向上。移動可能な医療機器を活用し、地域イベントで無料健診を行う。 - 専門性の強調:
・生活習慣病や特定疾患(例:糖尿病や喘息)に特化した診療プログラムを設置。専門的な治療法や使用する医療技術を具体的に説明した資料を作成。
・専門資格を持つ医師やスタッフによる専門外来を設定。クリニック内での治療実績や成功事例を発信。
基礎3:快適な院内環境とスタッフ対応強化で顧客満足度を向上
患者目線で社内の体制や診療の流れを見直すことで患者満足度が高くなり、良い口コミやリピートにつなげることができます。
いかに施策の一例を挙げます。
院内環境の整備
患者が快適に過ごせる環境をさらに掘り下げます。
- 清潔感を維持する:
- ・毎日清掃するだけでなく、診察室や待合室の除菌を定期的に実施。清掃スタッフへの衛生管理トレーニングを導入。
- ・患者が使用する備品(体温計、血圧計など)の都度消毒を徹底。各スペースに手指消毒剤を設置し、使用を促進。
- 待合い時間を快適に:
- ・オンラインの予約・問診、キャッシュレス決済の対応などで待たずに診察を行える環境を整備する。
- ・フリーWi-Fiの設置やスマートフォン充電スペースの提供で利便性を向上。患者が快適に待ち時間を過ごせる環境を整備。
- ・患者が利用できる飲料水や雑誌、絵本の補充を欠かさない。季節に合わせた飾りつけや香りの演出でリラックス感を提供。
- バリアフリー設計:
- ・車椅子の貸し出しを行い、段差のない院内設計を採用。来院前に確認できるバリアフリーガイドを提供。
- ・高齢者に優しい明るい照明や、大きな文字での案内表示を配置。院内案内を簡易な多言語表示で提供。
スタッフの対応満足度向上
患者との接点を持つスタッフが提供する体験を具体的に向上させます。
- コミュニケーション能力の向上
- ・実例に基づくロールプレイ研修を実施し、患者との対応力を磨く。特にクレーム対応や緊急時の対応スキルを習得。
- 患者目患者の目線で不満を減らす
- ・診療前後の待ち時間や状況を逐一説明し、患者の不満を減らす。必要に応じて次回診療に向けた提案も行う。
- ・外国人を集患対象として考える場合、翻訳アプリやバイリンガルスタッフを配置。外国語表記の案内パンフレットを常備するのもよいでしょう。
- スタッフ同士の連携強化
- ・日々のミーティングで各患者の治療進捗を共有し、チーム医療を実現。治療計画を可視化し、全員が同じ目標を共有できる体制を構築。
- ・共通のスケジュールツールを活用し、患者対応をスムーズに行う。院内の連絡がスムーズになるようにインカムやチャットシステムを導入。
オンラインでの集客アイデア:ホームページやMEOを駆使する
ホームページによる集客
ホームページの設置と最適化
- ・詳細な情報提供:診療科目やアクセス情報だけでなく、治療にかかる時間や料金の目安も記載。患者が事前に安心できる情報を提供。
- ・更新頻度の向上:季節ごとの健康情報(花粉症対策、インフルエンザ予防など)を月1回以上更新。
- ・予約への導線の最適化:ホームページを閲覧した方がその場で予約できるように、分かりやすく連絡先を記載しましょう。Web上で予約が完結するようなシステムを導入するのも近年では当たり前になりつつあります。
ホームページのSEO(検索エンジン最適化)対策
- ・地域密着型キーワードを強化:「地域名+診療科目」「駅名+クリニック」などをコンテンツに盛り込む。
- ・モバイル対応:スマートフォンでも閲覧しやすいデザインを採用。
メールやLINEを活用したコミュニケーション
- ・予約のリマインドやお知らせ情報の通知:法人向けのメール・LINEのシステムを導入し工数をかけずに間違いなく必要な情報を届けられるようにしましょう。
- ・内容の工夫:季節ごとの予防情報やキャンペーン案内を盛り込む。
- ・配信タイミングの最適化:患者が情報を確認しやすい時間帯を狙って配信しましょう。
MEO(地図サービスの最適化)施策
- ・Googleマップでの表示最適化:正確な住所や診療時間、写真など地図上から自院の存在を認識してもらえるよう情報を登録しておきましょう。
- ・患者レビューの管理:ポジティブな口コミを増やすため、満足度が高い患者に投稿を依頼しましょう。
SNSの活用(特定の診療科目・クリニックに強い特色がある場合)
- ・特定の診療科、強い特長がある場合はSNSは有効:美容外科・美容皮膚科や審美歯科・矯正歯科や、クリニックの治療方針などに強い特色があるクリニックなど、地域の患者だけでなく、幅広いターゲットに自院を認知してほしい場合にはinstagramやXの運用も効果的です。
- ・SNSは万能ではない:一方で多くのクリニックではいかに来院可能範囲の患者に効率的にアプローチするかが施策の肝となるので不要な場合も多いので工数が効果に見合わない事がある点に注意が必要です。
オフラインでの集客アイデア:地域に根ざした広報活動
チラシやポスティング
地域住民にクリニックの存在を知らせる基本的な手法としてチラシやポスティングを活用します。
チラシの内容の工夫
- ・デザイン性を高める
- シンプルで見やすいレイアウトを採用。
- カラフルな配色や視覚的なインフォグラフィックを使用して、目に留まりやすく。
- プロのデザイナーに依頼することでより信頼性のあるデザインに仕上げることができます。
- ・必要な情報を明確に記載
- 診療科目、診療時間、休診日、アクセス方法を簡潔にまとめる。
- 院内写真や医師のプロフィールを掲載し、親近感を与える。
- ・特典を付ける:
- 初回診療時に使用できる割引クーポンを添付。
- 健康相談会や無料診断イベントの案内を記載。
配布エリアの選定
- ・ターゲット地域を明確化
- クリニック周辺の住宅街や商業施設を中心に配布。
- 年齢層や住民のライフスタイルを考慮し、効果的な地域を選ぶ。
- ・配布方法の工夫
- ポスト投函だけでなく、地元の商店や公共施設に設置する。
- 地域イベントで直接配布し、住民との接点を作る。
地域イベントへの参加
地域住民との接点を増やし、クリニックの認知度を高めるため、積極的にイベントに参加します。
健康相談会の開催
- ・テーマを設定する
- 例:生活習慣病予防、花粉症対策、育児相談。
- ・無料サービスを提供
- 血圧測定、血糖値測定など簡易的な健康診断を実施。
- 健康に関する質問に医師が直接答える時間を設ける。
- ・参加者特典の提供
- 参加者限定のクーポンや小冊子を配布。
地域の祭りやイベントへの出展
- ・出展ブースを設置
- クリニックのパンフレットや健康情報を提供。
- 子ども向けのゲームや健康クイズを行い、幅広い層にアプローチ。
- ・イベントスポンサーとして参加
- 地域イベントのスポンサーとなることで、クリニック名の露出を増やす。
- イベント当日にスタッフを派遣し、住民とのコミュニケーションを図る。
DM(ダイレクトメール)を発送する
直接患者にリーチするため、DMの発送を活用します。
DMの内容
- ・個別化された内容を作成
- 患者の年齢や診療履歴に基づき、健康情報や定期健診の案内を送付。
- 季節に応じた情報(例:インフルエンザ予防接種の案内)を提供。
DMの送付タイミング
- ・定期的な送付
- 季節ごとの健康テーマに合わせて、年4回程度送付。
- ・イベント前後の送付
- 健康セミナーや相談会開催前に案内を送付し、終了後に感謝状を送る。
地域メディアの活用
ローカルな新聞やフリーペーパーを活用し、地域住民にリーチします。
広告の掲載
- ・適切な媒体を選定
- 地域密着型の新聞やフリーペーパーに広告を掲載。
- ・効果的な内容
- 目を引くキャッチコピーや、診療内容を分かりやすく伝えるレイアウトを採用。
コラムの執筆
- ・健康に関する記事を寄稿
- 医師が執筆した記事を定期的にホームページに掲載。
- 専門的な知識を一般向けに分かりやすく説明し、信頼感を築く。
口コミとリピーターを増やすための施策アイデア
口コミを活用した集客
患者の声を積極的に取り入れる
患者からのフィードバックをもとに改善点を把握し、ポジティブな口コミを増やすための戦略を実施しましょう。
- ・診療後アンケートの実施:診療後に簡易的なアンケートを配布し、患者の満足度や改善点を把握します。
- 例:スマートフォンで簡単に回答できるQRコードを提示し、回答者には次回使用できる特典を提供。
- ・口コミサイトでのレビュー促進:主要な口コミサイト(GoogleMapのレビューや地域特化型サイト)での評価を定期的に確認し、ポジティブな口コミを増やします。
- 満足度の高い患者に対して、レビュー投稿を依頼するメッセージを診療後に送付。
ネガティブな口コミへの対応
- ・迅速な対応
- 患者の不満が記載された場合、迅速かつ丁寧な謝罪と改善策を提示します。
- 対応内容を公開することで、他の患者にも誠実な姿勢をアピール。
- ・スタッフ間での共有
- ネガティブなフィードバックをスタッフ全員で共有し、同じ問題が再発しないように対策を講じます。
リピーター獲得のための施策
定期的なフォローアップ
患者が定期的に来院するきっかけを作ります。
- ・定期検診の案内
- 来院後3ヶ月ごとに定期健診や予防接種の案内メールを送付。
- 季節に合わせた健康情報(例:花粉症対策、冬場のインフルエンザ予防)を提供。
- ・個別対応の実施:
- 患者ごとの診療履歴に基づき、特定の治療や検査が必要なタイミングでフォローアップを実施。
- 例:生活習慣病患者に対して、定期的な血液検査や栄養指導の提案。
院内イベントの開催
- ・健康セミナーの実施
- 定期的に患者向けの無料健康セミナーを開催し、再来院のきっかけを作る。
- テーマ例:高血圧対策、子どもの発達相談、アレルギー予防。
- ・地域交流イベント
- 地域住民を対象とした健康フェアや無料相談会を実施。
- 来場者には健康グッズや簡易検診サービスを提供し、クリニックを身近に感じてもらう。
データ活用による患者理解の向上
診療データの分析
- ・来院頻度の把握
- 患者ごとの来院間隔や頻度を分析し、適切なフォローアップタイミングを設定。
- ・治療経過の可視化
- 電子カルテを活用して、治療の進捗や改善状況を患者にわかりやすく説明。
アンケート結果の分析
- ・改善ポイントの特定
- アンケートで得られたフィードバックをもとに、継続的に3つの基礎項目を見直ししましょう。
- 見直しに合わせて、施策アイデアから実施できそうなものが内科検討してみましょう。
- ・施策効果の検証
- 新たに導入した施策が患者満足度やリピーター率にどのような影響を与えたかを定期的に確認。
まとめ
クリニックの集患力を高めるためには、患者にとって信頼できる存在となることが最も重要です。そのためには、地域住民のニーズを的確に把握し、診療内容やサービスを柔軟に調整することが求められます。また、オンラインとオフラインの集客手法をバランスよく活用し、幅広い患者層にアプローチすることが成功の鍵です。
具体的には、SEOやSNS、MEOといったデジタル戦略を駆使しつつ、チラシ配布や地域イベントへの参加といった直接的な接触も組み合わせることで、認知度と信頼性を同時に高めることができます。そして、患者満足度を向上させるためには、清潔で快適な院内環境の整備やスタッフ対応の向上が不可欠です。
最後に、口コミの活用とリピーターの獲得は長期的な成功に直結します。患者一人ひとりとの信頼関係を深め、継続的に来院してもらえる体制を構築しましょう。これらの施策を通じて、安定した患者数を確保し、地域に愛されるクリニックを目指しましょう。
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この記事を書いたライター

氏名 株式会社EMシステムズ
1980年創業の医療(クリニック・保険薬局)、介護/福祉業界向けのシステム開発・販売・保守を行う企業です。現在は北海道から沖縄まで、多くの全国の医療・介護施設様に当社の各種システムをご利用いただいております。
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