経営
医師の年収はどれくらい?病院勤務医の年代別平均年収を解説
2024.12.28
医師の年収は、多くの医師が気になるテーマの一つです。特に病院で働く勤務医は、年代や経験年数、勤務形態によって収入に大きな差があります。本記事では、これから医師を目指す方やよりキャリアアップを目指す方に向け、病院勤務医を中心に年代別の平均年収を解説し、収入に影響を与える要因や働き方についても詳しくご紹介します。

医師の年収(病院勤務医の年代別平均年収)
20代の医師の年収
研修医から始まる医師としてのスタートライン
20代の医師は、医学部卒業後に研修医としてのキャリアをスタートさせます。この段階では、まだ経験が浅く、年収は比較的低い傾向にあります。研修医期間中は、平均的な年収が300万円から500万円程度です。。
- ・研修医の給与の内訳:基本給に加え、夜勤手当や当直手当が収入の一部を構成します。具体的には、夜勤1回あたり5,000円から2万円程度の手当が付与されることが多いです。
- ・昇給のタイミング:初期臨床研修(2年間)を終え、後期研修医や専攻医として働き始めると、年収が500万円から700万円程度に増加します。また、地域や病院によっては奨励金制度が用意されている場合もあります。
30代の医師の年収
中堅医師としてのステップアップ
30代になると、医師としてのスキルや専門性が向上し、年収も増加します。専門医資格を取得したり、大学病院や地域の基幹病院で勤務することで、平均年収は700万円から1,200万円程度に達します。
- ・専門医資格の影響:
- 内科や外科、皮膚科などの専門医資格を持つ医師は、年収が平均よりも100万円から300万円高くなる傾向があります。例えば、消化器内科の専門医資格を持つ場合、内視鏡検査の需要により追加の手当が発生します。
- ・診療科の違い:
- 手術を伴う診療科(心臓外科、整形外科など)や救急医療では、夜勤や緊急対応の頻度が高いため、時間外手当が高くなるなどの影響で年収がさらに上がる場合があります。
管理職やチーフ医師の役職
30代後半になると、病院内で管理職に就く機会も増えます。科長やチーフ医師として責任ある役割を担う場合、年収は1,500万円から2,000万円に達する場合もあります。
- ・管理職の役割:医療チームの運営や新人医師の教育、経営計画への参画が求められます。
- ・追加手当:管理職手当や責任手当が月額10万円以上上乗せされることがあります。
40代の医師の年収
医師としてのキャリアの頂点に向けて
40代は医師としてのキャリアが最も充実する年代の一つであり、年収が大幅に増加します。経験やスキルが評価され、平均年収は1,200万円から2,000万円、一部の専門医では3,000万円を超えることもあります。
- ・専門医としての実績:
- 長年の臨床経験が患者からの信頼につながり、診療実績が収入に反映されます。
- ・自由診療の活用:
- 美容外科や不妊治療などの自由診療を行う医師は、診療単価が高いため年収が増加する傾向があります。
高度な専門性と患者数の増加
特定分野のスペシャリストとして活躍する医師は、患者数が増加し、それに伴い診療報酬も大きく上昇します。
- ・例:腫瘍内科医や心臓外科医など、生命に関わる高度な治療を提供する分野では、患者の信頼が収入の向上に直結します。
- ・研究や講演活動:学会発表や講演会を行うことで追加の収入を得るケースもあります。
50代以上の医師の年収
ベテラン医師の安定した収入
50代になると、医師としてのキャリアの集大成として、年収が安定する傾向があります。病院勤務医の平均年収は1,500万円から2,500万円、特に病院の経営や教育にも関与する医師では3,000万円を超える場合もあります。
- ・収益の安定性:
- 定期的な患者数や信頼を基盤に、安定した収益を得ることが可能です。
- ・指導医としての役割:
- 後進の医師を育成する役割を担うことで、教育手当が加算される場合があります。
- 後進の医師を育成する役割を担うことで、教育手当が加算される場合があります。
年収を左右する要素
勤務先の病院規模
- ・大規模病院:
- 診療報酬が高く、福利厚生も充実しているため、収入が安定しています。加えて、研究活動や教育への関与が求められる場合、追加の手当が支給されるケースがあります。
例:大学病院の勤務医では、研究費や学会参加費の補助が得られることもあり、年収に影響を与えます。
- ・小規模病院:
- 経営状況や地域需要によって収入にばらつきがありますが、診療の自由度が高い場合や患者との距離が近い環境では、ボーナスや特別手当が上乗せされることもあります。
地域
- ・都心部:
- 病院が多く、患者の数が安定しているため診療報酬が高い傾向があります。また、診療単価が高く設定される科目では収入が大きく増える可能性があります。
例:東京や大阪の大病院では、医療需要が高いため夜勤手当が手厚く支給されることがあります。
- ・地方:
- 医師不足が深刻な地域では補助金や特別手当が付与されるため、都心部に匹敵する年収を得られる場合もあります。
例:離島や僻地医療を行う場合、自治体からの奨励金や住宅補助が加わることがあります。
科目
- 高収入が期待できる科目:
- 心臓外科、脳神経外科、整形外科などの緊急性が高く医療対応の負担が大きい診療科では、診療報酬が高く設定される傾向があります。
- 例:心臓外科医の場合、1回の手術で数十万円以上の診療報酬が得られることもあります。
- 安定性が高い科目:
- 皮膚科、眼科、放射線科など、負担が比較的少なく患者数が安定している科目では、収入が持続的に確保されることが期待されます。
- 例:皮膚科では、定期的な通院患者が多いため収益が安定しています。
開業医と勤務医の年収の違い
開業医の年収
開業医の収入モデル
開業医の年収は、診療科目や地域需要によって異なりますが、2,000万円から5,000万円が目安です。成功すれば勤務医の年収を大きく超えることが可能です。
- 例:
- ・内科の開業医は、患者数が安定していれば年間3,000万円以上の収入を得ることがあります。
- ・美容外科や自由診療を行う開業医は5,000万円以上を達成するケースも。
収益の安定性
開業には設備投資や宣伝費などの初期費用が必要です。成功するには、地域需要を綿密に調査し、患者層に合ったサービスを提供することが求められます。
開業医の経営者としての側面
開業医の場合、自身が医院長などの経営判断をする立場になるケースもあります
またクリニック開業時の開業資金は自身で調達する必要性もあります。開業医の場合、こうした経営リスクの重責を担う部分とスタッフマネージメントや集患の対応業務も求められます。
勤務医の年収
安定した給与体系
勤務医は、固定給が設定されているため、経営リスクを負わずに安定した収入を得られます。さらに、夜勤や手術手当などの追加収入が加わります。
※開業医の年収に関するコラムはこちら
年収アップを目指すための選択肢と施策
医師のキャリアアップの方法
専門医資格の取得
専門医資格を取得することで、診療報酬が高くなり、さらなるキャリアの可能性が広がります。例えば、内視鏡技術認定医や糖尿病専門医は需要が高く、収入増加が期待されます。
管理職や役職への昇進
科長や部長職に就くことで、年収に300万円以上の増加が見込めます。
効率的な働き方を選ぶ
アルバイトや非常勤の活用
本業としての勤務医の仕事に加えて、非常勤医師としてアルバイトを行うことで追加の収入を得ることができます。これには夜間の救急対応や休日の健診業務などが含まれます。
- 具体例:
- ・健診センターでの非常勤業務では、1回の勤務で5万円から10万円の収入が得られることがあります。
- ・救急外来でのアルバイトでは、夜勤1回で10万円以上の報酬が支払われるケースもあります。
開業のタイミングを見極める
十分な臨床経験を積んでから独立することで、開業後の成功率を高めることができます。タイミングを誤らず、地域需要を見極めることが重要です。
- 開業のための準備:
- ・資金計画の立案(開業資金は1,000万円から数千万円が目安)。
- ・開業地の選定と競合分析などの調査が重要
- ・自由診療メニューの導入を検討し、差別化を図る必要がある。
※クリニック開業に関するコラムはこちら
まとめ
医師の年収は、年齢やキャリア、勤務先、診療科目、地域の要素によって大きく異なります。自身の目標やライフスタイルに合わせて、キャリアアップの方法や働き方を選択することで、収入を向上させることが可能です。
- ポイント:
- ・専門医資格や管理職への昇進を目指し、キャリアアップを図る。
- ・地域や診療科目を選び、自分の強みを最大限に活かす。
- ・開業を視野に入れる場合は、タイミングと準備を慎重に進める。
最終的には、自分のライフステージや働き方に合った収入モデルを見つけることが重要です。
開業医の場合、クリニック運営に関わる判断も重要となるため、事業リスクとクリニック収入のバランスを考慮する必要が出てきます。
医師の働き方を効率化する電子カルテや予約システムについての詳細はこちらをご覧ください。
この記事を書いたライター

氏名 株式会社EMシステムズ
1980年創業の医療(クリニック・保険薬局)、介護/福祉業界向けのシステム開発・販売・保守を行う企業です。現在は北海道から沖縄まで、多くの全国の医療・介護施設様に当社の各種システムをご利用いただいております。
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