経営
オンライン診療で処方箋を発行する仕組みと注意点:患者と医療従事者のための完全ガイド
2025.01.16
オンライン診療は、遠隔地に住む患者や忙しい日々を送る人々にとって、医療へのアクセスを劇的に向上させる手段として急速に普及しています。その中でも、処方箋発行の仕組みはオンライン診療の中心的な役割を果たしており、患者にとって重要な利便性を提供しています。特に、診療の手軽さと薬の受け取りがスムーズに行える仕組みは、患者満足度の向上に大きく寄与しています。本記事では、オンライン診療における処方箋発行の基本的な流れや注意点、法規制、メリットと課題について詳しく解説します。さらに、実際にオンライン診療を活用するための具体的なポイントも取り上げます。
※オンライン診療の導入についてはこちら
https://service.emsystems.co.jp/maps-station/%e7%b5%8c%e5%96%b6/online-treatment/

目次
オンライン診療における処方箋発行の基本的な流れ
オンライン診療で薬を受け取るまでの3ステップ
■ステップ1. 診察
医師とビデオ通話や音声通話で診察を行い、症状や病状を伝えます。
緊急性の高い症状や外傷などオンライン診療に適応しない症状もありますので、症状によっては対面での診療を受けましょう。
初診、再診で対応が異なることがありますので以下で違いをまとめておきます。
初診・再診の違い
初診: 初めてのオンライン診療では、患者の病歴や症状を詳しく聞き取り、適切な診断が行われます。※初診では対面診療が必要な場合もあるため、事前に確認が必要です。
再診: 再診の場合、過去の診療記録や症状の経過を基に診断が行われ、スムーズに処方箋が発行されます。患者と医師が既に信頼関係を築いている場合、診療がより迅速に進むことが多いです。
■ステップ2. 処方箋の発行
診療結果に基づく処方箋の発行
オンライン診療終了後、医師が患者に適切な薬を処方します。これには、患者の症状や既往歴に基づく判断が含まれます。電子処方箋の発行が一般的になりつつあり、患者はより迅速に薬を受け取ることが可能です。医師は処方箋を発行する際、患者の薬剤アレルギーや相互作用にも注意を払います。
「紙の処方箋」と「電子処方箋」
従来の「紙の処方箋」以外にも医療機関によっては「電子処方箋」に対応している場合があります。
電子処方箋を希望している場合には診察時に伝えておきましょう。
今後電子処方箋に対応している医療機関・薬局は増えていきますので、患者側でそれぞれの特性を理解し、自分に合った処方箋を受け取りましょう。
「紙の処方箋」と「電子処方箋」の違い
紙の処方箋 | 電子処方箋 | |
---|---|---|
形態 | 紙に印刷された処方箋 | データ形式で電子的に送信される処方箋 |
受け取り方法 | 郵送または医療機関で受け取る必要あり | 指定の薬局に直接送信される |
有効期限 | 発行日を含めて4日以内 | 発行日を含めて4日以内 |
薬局の対応状況 | ほとんどの薬局で利用可能 | 電子処方箋対応の薬局のみ利用可能 |
紙処方箋の注意点
紙処方箋が必要な場合、郵送で患者に届けることができます。ただし、郵送には時間がかかる場合があるため、急ぎの患者には注意が必要です。郵送手続きの際には、配送状況を追跡できる仕組みを導入することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
電子処方箋の注意点
電子処方箋は患者の手間が少なく、スムーズに受け取れる点が便利ですが、対応薬局を事前に確認しておく必要がある点に注意してください。
■ステップ3.薬の受け取り
薬局もしくは宅配サービスで薬を受け取ります。
薬局で薬を受け取る方法
●紙の処方箋を使って薬局で薬を受け取るまでの流れ
1.医療機関に処方箋を受け取りに行くか、医療機関に処方箋を郵送、FAX、メール等で送ってもらう。
2.薬局に処方箋を持参して薬を受け取り、料金を支払う。
●電子処方箋を使って薬局で薬を受け取るまでの流れ
1.患者が医療機関に電子処方箋を使いたいこと希望の薬局を伝える。医療機関が処方箋データを薬局に送付。
2.患者が薬局で薬を受け取り、料金を支払う。
宅配サービスを利用する方法
宅配サービスを利用する場合、患者の住所に薬を届けることができます。ただし、冷蔵が必要な薬や特定の医薬品は配送が制限されることがあります。さらに、配送時間の遅延が患者の健康に影響を与える可能性があるため、適切な配送業者を選定することが重要です。
● 宅配サービスで薬を受け取るまでの流れ
1患者が診察時に医療機関に希望の薬局を伝える。医療機関が処方箋データを薬局に送付。
2.患者はオンラインで薬局より服薬指導を受ける。
3.患者が支払い手続きを行い、薬の配送を待つ。
処方箋発行に関する法規制とルール
処方箋の有効期限とその理由
法律で定められた期限
処方箋の有効期限は原則として交付の日を含めて4日間です。これは、薬の適正使用と患者の安全を確保するために定められています。期限を過ぎた場合、薬の有効性や適用性が失われる可能性があるため、患者への十分な周知が必要です。
有効期限内での対応方法
患者が期限内に薬を受け取れなかった場合、再診が必要になることがあります。期限内に薬を受け取るための案内を徹底しましょう。オンライン診療では、診療後にリマインダーを送信する仕組みを活用することも有効です。
処方可能な医薬品の範囲
遠隔診療で認められている薬の種類
慢性疾患の治療薬や風邪薬、鎮痛薬などがオンライン診療で処方可能です。ただし、患者の状態に応じて判断が必要です。症状が重篤である場合は、対面診療が推奨されます。
規制がある薬とその背景
厚生労働省のWEBサイトには「初診から麻薬や向精神薬を処方することはできません。また、基礎疾患等の情報が把握できていない患者さんに対する、特に安全管理が必要な薬品(精神神経用剤、糖尿病用剤等)や、8日分以上の処方もできません。」と記載されており、医師はこれらの規制を遵守し、必要に応じて対面診療への切り替えが必要です。注意の必要な薬については「オンライン診療で処方を受けるに当たって注意が必要なお薬一覧」(厚生労働省)にもまとめられているため、事前に確認しましょう。
医師や患者が守るべき基本ルール
患者情報の確認と管理
患者の個人情報や病歴を正確に把握し、適切な管理を行うことが重要です。オンライン診療では特にセキュリティ対策が求められます。デジタルプラットフォームを活用する場合、データ暗号化や二要素認証を導入することが推奨されます。
医師が注意すべき倫理的・法的ポイント
オンライン診療では、患者の診療に対する責任が変わらないため、医師は十分な説明と診療記録を徹底する必要があります。特に、薬の副作用やリスクについて患者に明確に説明することが重要です。
オンライン診療のメリットと課題
オンライン診療による利便性の向上
医療アクセスの改善
遠隔地や高齢者など、通院が困難な患者でも医療を受けられるようになります。また、通院にかかる時間や交通費を削減できるため、多忙な社会人にも適しています。
時間・場所の制約の解消
診療の予約や受診がスマートフォンで完結するため、患者の時間的負担が軽減されます。特に、仕事や家庭の事情で自由な時間が限られている人にとって、この利便性は大きなメリットです。
オンライン診療におけるリスクとその対策
患者側のリスク(情報漏洩、誤診など)
セキュリティ対策を徹底し、プライバシー保護に努めることが必要です。また、症状が曖昧な場合は対面診療を勧めることも重要です。患者自身がオンライン診療に関するリテラシーを高めることも求められます。
医療従事者側のリスク(法的責任、技術的課題)
診療記録を正確に残し、法的責任を果たす体制を整えましょう。また、システム障害に備えたバックアップを用意することも必要です。医師やスタッフの技術的トレーニングも定期的に行うことが推奨されます。
課題を解決するための取り組み事例
行政のガイドラインと支援策
厚生労働省のガイドラインを参考に、適切な診療体制を構築することが重要です。さらに、行政主導でオンライン診療の利便性を普及させるための啓発活動が行われています。
参考:オンライン診療について(厚生労働省)
医薬品配送サービスの安全性向上策
配送業者と連携し、薬の保管温度や配送経路の管理を徹底する取り組みが進められています。特に、遠隔地への配送においては、時間通りに薬を届けるための仕組みが重要です。
実際にオンライン診療を活用する際のポイント
患者向け:オンライン診療を始めるための準備
必要なデバイスとアプリケーションの用意
スマートフォンやパソコン、オンライン診療専用アプリを事前に準備しましょう。また、インターネット接続の安定性を確認し、診療中に通信トラブルが発生しないようにすることが大切です。
健康保険証や同意書の準備
オンライン診療を受ける際は、健康保険証や同意書を手元に用意しておくことが求められます。これにより、診療の手続きがスムーズに進行します。
医師向け:オンライン診療の運用で押さえるべきポイント
電子カルテとの連携
電子カルテを活用して、患者情報を一元管理することで、診療の効率化が図れます。データの共有がスムーズに行えるため、チーム医療にも役立ちます。
処方箋の記録と管理
処方箋の発行履歴を正確に記録し、トラブルを未然に防ぐことが重要です。定期的に記録を見直すことで、診療の質を向上させることができます。
まとめ:オンライン診療と処方箋発行をもっと便利に、安全に
オンライン診療と処方箋発行の仕組みを正しく理解することで、患者と医療従事者の双方が利便性と安全性を享受できます。電子カルテとの連携やガイドラインの遵守を通じて、効率的かつ安心な診療体制を整えましょう。また、患者と医療従事者の双方がこの仕組みを積極的に活用し、医療の質を向上させることが求められます。
オンライン診療の導入や運用効率化を目指す医療機関にはクラウド電子カルテ「MAPs for CLINIC」の活用がおすすめです。このシステムは、オンライン診療を含む診療業務全般を一元管理できるだけでなく、患者満足度の向上や業務負担の軽減に大きく貢献します。診療予約、電子カルテ、決済機能が連携したスムーズな運用を実現し、初めてオンライン診療を導入するクリニックにも最適です。詳細は公式サイトをご覧ください。
この記事を書いたライター

氏名 株式会社EMシステムズ
1980年創業の医療(クリニック・保険薬局)、介護/福祉業界向けのシステム開発・販売・保守を行う企業です。現在は北海道から沖縄まで、多くの全国の医療・介護施設様に当社の各種システムをご利用いただいております。
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